手仕事によるオリジナリティのある風合い
ithのコレクションリングには表面仕上げにこだわった結婚指輪が40種類ほどあります。
その中の1つ、イタリア語で‘氷’という意味のNeve《ネーヴェ》というテクスチャは、指輪の表面をアイススケートのリンク、氷上に付くスケートの跡をお二人の足跡に見立てた仕上げの加工です。
ithがはじまった当初からあるテクスチャで、指輪の表面に線を何度も重ねて描くことで出来上がる風合いは、時間をかけて加工をするほど深みが出ます。
Pesante《ペザンテ》
幅と厚みのある重厚な見た目から、音楽用語で‘重厚に’という意味の名前をつけました。
鍛造製法で幅広のたっぷりとした面に職人の手仕事でテクスチャを施したペザンテは、堂々とした重量感があります。結婚指輪の平均的な太さが2.5mmから3.0mm程度と言われる最近ですが、プラチナの指輪は4.0mm、イエローゴールドの指輪は3.5mm、厚みも通常ithの結婚指輪は1.6mmを基本としてますが、ペザンテはプラチナの指輪が2.2mm、イエローゴールドの指輪が2.0mmの厚みで、身に着けた時のボリュームをしっかりと感じられます。
通常よりもボリュームがあるため、着け心地をよくするための工夫として側面と内側の境目に丸みを持たせる‘内甲丸’という加工を加えています。この内甲丸があることで、圧迫感なく指輪を身に着けることができるようにしました。
また、イエローゴールドの表面にはダイヤモンドを1石、星の飾り彫り留めで入れ、優しく肌になじむつや消しのイエローゴールドに、ダイヤモンドの高い光沢感が指輪全体を引き締めてくれます。
地金の色で選ぶ鍛造の楽しみ
鍛造コレクションをつくることが決まった時、ithで結婚指輪を選ぶ楽しみをもっと広げたいという考えがあり、使う地金素材の種類を増やすことにしました。
今までのプラチナ、イエローゴールド、ピンクゴールド、ホワイトゴールドの4色に加え、シャンパンゴールドとライムゴールドという2色を追加した、6色をご用意しています。
左の指輪はシャンパンゴールドという素材です。ピンクゴールドよりも肌色に近い色味のゴールドで、身に着けるとしっとりと肌になじむ色味の素材です。
右側の指輪は、ライムゴールドという黄色味の強いゴールドで、ビビットで少し緑色味が強いところからライムの名がぴったりの地金です。シャンパンゴールドとは対照的に、指元で主張する明るい色味をしてします。
一生に一度の大切な結婚指輪をオーダーメイドでつくるためには、デザインはもちろん地金の色味は大切な要素です。似合う色や好きな色を探すため、アトリエでぜひ着け比べてみてほしいと思います。
一人の職人が完成まで一貫して携わる
1本の金属の棒を輪にするところからはじまる昔ながらの鍛造製法、旋盤による切削加工で指輪のベースとなる部分をつくり、最後の仕上げとして手仕事を指輪に施すというつくり方は、とても手間隙のかかるものづくりの方法です。
鍛造製法の指輪は、基本的には1人の職人が最初の工程から、完成するまで一貫して指輪に携わります。全ての工程に携わるからこそ、責任感をもって指輪と向き合います。
大量生産でものをつくる時代に、生産性よりもつくり出す指輪への愛着や責任感を大事にすることで、つくる側も身に着ける側も豊かな気持ちになれる。そんなものづくりのかたちがithにはあります。
つくり手 高橋亜結