Gold Column
古代地中海世界の
金(ゴールド)と装飾品のお話
ミノア、ミケーネ、エトルリアという文明をご存知ですか?
これらはギリシアよりもはるか前に装飾品文化が存在していた、古代地中海周辺で生まれた文明だそうです。
紀元前1800年頃からクレタ島で始まったミノア文明、そしてその技術を吸収したミケーネ文明、
さらに紀元前700年頃に南イタリアで始まったのがエトルリア文明でした。
ミノア、ミケーネの装飾品
ミノア、ミケーネ文明の装飾品は、金(ゴールド)や青銅で作られたものがほとんどでした。いずれの文明でも宝石類はあまり使用されることがありませんでしたが、彩りを加えるために七宝細工(金属に釉薬で絵を描き、焼き上げて定着させる技法)を使われることも多かったようです。
これらの文明の装飾品に関する技術は、メソポタミアやエジプトから取り入れられたものでした。
写実的なモチーフを描くために、中東由来の細線細工や粒金細工といった技術も用いられたようです。
そのモチーフは、昆虫やヒトデやタコといった海の生き物など、一風変わったものが好まれており、金(ゴールド)の蜂のペンダントが有名なのだそう。
海の生き物をモチーフにするなんてちょっと珍しい気もしますが、それほど海との関わりが強い地域だったのでしょうね。
高い技術を誇るエトルリアの金属細工
エトルリア文明の装飾品の素材の中心は金(ゴールド)でした。
銀や宝石が使われた装飾品もありますが、エトルリアは非常に豊かであったらしく、ほとんどの素材は金(ゴールド)だったのだそうです。
そのせいもあってか、中東由来の金属加工技術が極端な発展を遂げており、複雑な模様までもが全て粒金細工で表現されていたり、
細線細工や繊細な彫刻なども多く使われていました。
そしてこうした高度な技術は、後に古代ギリシアやローマへと受け継がれて行ったのでした。
またギリシアやローマへ受け継がれるのは技術だけではなく、アイテムも同じでした。
髪飾りや首飾り、腕輪、指輪、そして衣類を留めるために使われた「フィブラ」など、エトルリアの装飾品は、古代ギリシアへと続くのです。
繊細な古代ギリシアの装飾品のルーツは、ここにあったのですね。
参照文献
『黄金の世界史』/講談社
『図解 装飾品』/新紀元社
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