Gold Column
金(ゴールド)にまつわるお話:
ロシア最後の王朝の
インペリアル・イースターエッグ
ロシア最後の王朝・ロマノフ時代に作られた、インペリアル・イースターエッグをご存知ですか?
1886年から1917年までに50個のエッグが作られたとされ、どのエッグも現在の価値にして1個数億円の価値があると言われています。
はじまりの1個
最初のインペリアル・イースターエッグが作られたのは1886年、時の皇帝アレクサンドル3世が、妻である皇后マリア・フョードロブナに贈るためでした。
“「雌鶏の卵」の名で知られているこのエッグは金で作られ、殻の外側は白いエナメル製だ。
殻を開くと金色の卵黄が現れ、その中には宝石を散りばめた雌鶏が納められている。
この雌鶏の中にも、今は失われてしまったが、かつては金とダイヤで作られた小さな「皇帝の冠」のレプリカが入っていた。
その中央にはルビーのペンダントが置かれていたという。”
引用:絶対に見られない世界の秘宝99日経ナショナルジオグラフィック社
これは皇帝自らがデザインを指示し、宝石商カール・ファベルジェが製作したもので、高さ約6センチのものだったそうです。
たった6センチの卵の中にこれだけの細工が施され、金や宝石などが惜しみなく使われているなんて、贅沢でステキな贈り物ですね!
イースターエッグたちの運命
最初のエッグが好評だったことで、ファベルジェは「必ずサプライズの仕掛けを施す」ことを条件に、
2つ目以降のエッグを自由に製作して良いことになりました。
こうしてアレクサンドル3世のあとを継いだ息子のニコライ2世が退位に追い込まれる1917年までの間に、
50個のエッグが作られたのでした。
ひとつひとつ違った仕掛けの施されたイースターエッグ、美しいのはもちろんですが、
きっと贈られるたびにどんな仕掛けがあるのかとわくわくしたでしょうね。
その後王朝は崩壊し、これらのエッグはしばらくはクレムリンの奥深くに厳重に保管されていたのですが、
驚いたことにスターリンの時代になって、国家の収入にすべく外国に売りに出されてしまったのだそうです。
現代に残る
インペリアル・イースターエッグ
そして国外に持ち出されたエッグの多くは、現在では個人のコレクションとなっていたり、クレムリン武器庫博物館が所有していたりするそうですが、8個のエッグは未だ所在不明…と言われていたのですが、2014年3月、このうちの1個がアメリカのフリーマーケットに出品されていたとのニュースが!
なんとこのエッグ、ある男性がくず鉄として売るつもりだったのが買い手がつかず、ある夜インターネットで検索していて貴重なイースターエッグであることに気付いたのだそう。
くず鉄として売ろうとしていたものがロシアのインペリアル・イースターエッグだなんて、本人もかなり驚いたでしょうね。
こちらのエッグ、約34億円の価値があったのだそうです。
あと7個のエッグもその価値に気づかれないまま、意外なところに潜んでいるのかもしれません。
実家の玄関なんかにさりげなく飾ってあったりして…
参照文献
『絶対に見られない世界の秘宝99』
日経ナショナルジオグラフィック社
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